喫煙と歯科治療

喫煙は歯周病にとっても、もっとも危険な因子の一つなのです。タバ コを吸うことによる免疫力の低下により、歯周病などの病気にかかりやすくなるのです。そして、タバコの有害物質が、歯の周りや肺のなかに沈着すると、これを取り除く白血球が大量の活性酸素を放出するのです。

タバコの煙には4000種類以上もの科学物質が含まれ、このうち60種類には発癌性が あり、その主なものとしてタール、ニ コチン、一酸化炭素の3つが知られています。発癌性や強い刺激性を持つタールは、歯や歯石の表面に黒く沈着しますので、見るからに悪影善を及ぼしそうですが、ニコチンだって負けてはいません。

セメント質への結合が強いので、歯石を除去して綺麗にしてもすぐに台無しにしてしまいます。欧米の歯科医のなかには、「喫煙者の歯周病の治療は無駄である」と極論する人さえいま すし、疫学調査によると10年間で失う歯の数が、タバ コを吸わない人に比べて、約3倍という報告もあります。

またニコチンの影響で、毛細血管が収縮して貧血状態になります。口のなかも例外ではなく、血の巡りが悪くなり、さらに一酸化炭素のために血液中に十分な酸素が運ばれなくなります。

その結果、抜歯後の傷口の回復、歯茎の処置後の治り具合、インプラント手術後の成績が 落ちるなど、あらゆる歯科の処置に悪い影響を及ぼすのです。
このように、口臭に留まらず歯への影譬だけを考えても、禁煙は必要だと思われます。思い当たる方は、できればこの機会にきっぱりとやめましょう。

余談になりますが、海外の学会に参加すると、会場はほとんど禁煙となっています。ですから、参加する医師たちも当然のことに喫煙しません。ところが、日本の学会や歯科医の集まりに出席すると愕然とさせられます。その大半が休憩時間にタバ コを喫煙するので、廊下は臭いはもとより煙で目が痛くなるほどなのです。

これだけ歯科治療に喫煙が悪影響をするのですから、治療を担当する医師たちが喫煙して いてはいけません。
健康を志向する人はまず禁煙すること。さらに、厳しいようですが、スモーカーには健康や環境問題を語る資格はないと私は思います。